《番犬女》は俺のもの
第29章 ハダカの心
「ヒントを、あげる」
「…」
零は、茜に一歩 近付いた。
彼女の身体をはさむ形で、洗面台の縁に両手をつく。
「ベールをとって、俺の弱さを見ればいい」
「…わかった」
意味深な彼の言葉
茜からしたら慣れっこだ。
彼女は一度、頷くと、黙って零の身体を見た。
さっき道端でいきなり裸になられた時はそれどころではなかった…
今は、冷静にヒントを探せる。
「…、これは」
彼女の目はある一点──
零の左の脇腹で止まった。
ベルトのすぐ上
ズボンで半分隠れているがそれは…
「…これは、刺された痕( アト )か」
「正解」