《番犬女》は俺のもの
第30章 茜さんは、俺のもの
「どうする?」
「──…ッッ、わ、わかった。ハァ…、その前にシャワーを浴びさせてくれ…!!」
「…洗って、の間違いね」
腰を屈めた零。
彼は茜を抱えて風呂場の扉を押し開き、タイルの上に彼女を立たせた。
立った茜を今度は風呂場の壁に押し付け
片手がシャワーを取る。
目線は茜に向けたままで、背後の蛇口を捻った。
「……っ」
勢いよく吹き出す湯──否、まだ、水だ。
床に跳ね返った飛沫がかかって、冷たい。
「すぐにはお湯にならないね…」
「……あ、ああ」
「まぁ いいや」
まだまだ冷たいその水を
零はあっさりと頭から被った。
何してんだと茜が目を丸くする。
「この真冬に、そんな水被って…っ」
「…だって、俺も熱いから」
ふわふわとした彼の髪の毛が、あっという間にずぶ濡れ。彼は前髪を掻き上げた。
穿いたままだったズボンも、水がかかって色が濃く変色した。
「──…二人、一緒に…濡れればいいさ」