《番犬女》は俺のもの
第5章 因縁
シャワーで汗を洗い流した茜は、濡れた髪をごしごしと拭きながら再び現れる。
「やっぱり乾かすのが面倒だなこの髪…さっさと切ってしまおう」
そんな独り言が聴こえる。
朝食の用意はできていた。
「食べてていいわよぉ♪ ご飯も炊けてるから自分でよそいなさいね」
茜の母は朝からテンションが高かった。
──というより、常にこんな人なのである。
「…これ」
どんぶりに (茶碗に) 米をよそった茜は食卓につく
「これ魚?」
「ええ、鮭よ」
「……サケか(汗)」
どうして黒いんだ
「ちょっと焦がしちゃったの…っ」
「…ハハッ…だろうね」
焼き魚の芳ばしさを噛みしめる
そんな朝食である。
──んん、やっぱり
米は甘いなぁ……。
「…日本人で良かった」
「何?何か言った?」
「いや何も」
「食べ終わったら、あの子達にもご飯食べさせてあげててね!もう作ってあるから!」
「わかった」
ここから茜の一日が始まる……。