《番犬女》は俺のもの
第31章 茜の反撃
…そういえば、毎年そうだった。
「…」
いつものラブレターが菓子に変わる日…。
靴箱を開けて立ち尽くす茜の足元に、転がり落ちてしまったプレゼントが数個。
「今年はやけに多い……な」
どうやってこれを全て持って帰れと?
「──…ふ わぁ…。おはよー茜さん」
「…ッ…よぉ、篠田か」
どう頑張っても鞄におさまらないプレゼントの山を前にして、固まる彼女の後ろから無気力な挨拶がなされた。
声の主は、もちろん零だ。
「これ使う?」
零はあくびをしつつ、大きな紙袋を茜に差し出す。
「……何だ、これは」
「茜さんの分も持ってきたんだよ。ほら」
彼が肩にかけているのは同じ大きさの紙袋。
中にはプレゼントがぎっしりだった。
準備がいいと言えばそうだけれど…
「あれ、どしたの茜さん」
「……」
「…怒ってる?」
「…っ」
茜は無言で紙袋を受け取り、靴箱の中身をいれて階段を上がる。
他の生徒の波にのまれていった。