《番犬女》は俺のもの
第31章 茜の反撃
そして、茜のHPは半分になった!
(───黙れよッ)
「……っ」
教科書を準備しようと開けた鞄の中には、リボン付きの箱がある。
これを…どうにか零に渡したい。
朝の彼を思い出すと腹もたってくるが、本来の目的を忘れてはいけない。
想定外のチョコレート攻めから立ち直り、決心を固めた茜だった。
────…
「茜さーん」
「わかってる…」
四限目が終わり、お昼時になると現れる零はもはやお決まり。いまさらクラスの誰も驚かない。
重箱弁当と牛乳をいれたいつもの包みを手に、茜は立ち上がった。
「それも一緒に持ってきて」
「…は?」
「それ、その紙袋だよ」
何故かは知らないが、今朝に彼が渡してきたチョコレート用袋も持ってこいと零が言う。
仕方がないので茜は言う通りにしておいた。