《番犬女》は俺のもの
第6章 おさめた拳 ( コブシ )
「・・・・・、ひど…」
「…ッ//…前々から思っていたが…! お前はやっぱり変態だな」
「青崎のは殴らないのに、俺は殴るんだ…。もしかして、ああいう柄悪く絡んでくる方が好みなの?」
「違っ…、そうじゃない!」
零は腹を押さえて座ったままうずくまり
茜はアイスバッグを左手にもって立ち上がった。
「さっきは…人目が多かったからだ…!!」
「──ケホッ」
「手で受け止めたら逆上させるだけだ。奴らと殴り合いになるわけにはいかないだろう」
「たとえ青崎とやりあっても、誰も茜さんを責めたりしないと思うけどね…」
絡んできたのは青崎の不良
殴りかかってきたのも向こう側。
あそこで乱闘騒ぎになったとしても…誰も凰鳴の女生徒に責任があるとは考えない。
──確かに、そのとおり
「……」
それを理解していても、茜は乱闘を避けるためにわざと自分の顔を殴らせた。