《番犬女》は俺のもの
第6章 おさめた拳 ( コブシ )
『誰だい?君は…』
『誰だっていい答えろ、お前が盗んだんだろ?』
『…ふふ、ひどいなぁ誤解だよ』
『とぼけるな…』
『騒ぎを大きくして困るのは花崎さんの方だよ、友達ならそっとしてあげたら?
……俺、明日バスケの試合だから。さっさと帰ってほしいんだけど』
『──…』
『…ククッ…可哀想になぁ梗子ちゃん。そろそろ俺が慰めてあげてもいい頃だけどね…』
…───
気付いたときには
私は渾身の力でストーカーの男を殴っていた。
たった一発──それでノックアウト
遠くから様子を見ていたらしい男子生徒たちが慌ててかけより、救急車を呼ぶ。
私は、奴が担架で運ばれる瞬間でさえ
その憎たらしい顔を睨み付けていたように思う。