《番犬女》は俺のもの
第6章 おさめた拳 ( コブシ )
余裕たっぷりのあの薄ら笑いにムカついた。
花崎さんを侮辱するあの言動が許せなかった。
本当なら、一発殴るくらいではすまない怒りだったんだ。
次の日、学校は休みで
翌々日には学校中にこの事実が知れわたっていた。
もちろん私は担任に呼び出され、くどくどと長い話に付き合わされた。
けれど誰も私を責めることはしなかった──
私が女で、相手が下着泥棒の男だったからだろう。私への非難はとくになく、ただ恐れだけが残った。
『…茜ちゃん…! 』
そしてこの事は当然、花崎さんの耳にも入った。
私が教師との面談を終えて教室から出てきたところで、目の前に彼女がいたんだ──