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スーパーボール

第15章 ペンシック*山*ペン入れ

「次」

ものすごいスピードで、原稿が上から降ってくる。

「早っ」

ついつい本音が漏れてしまった。

「〆切が早まったんだから、原稿を早く仕上げないと」

二宮君がそう言って、落ちた原稿を二枚拾って席に戻った。

その隣のアシスタントさんは、
二宮君に積まれた原稿の山を
必死に無くそうとカリカリとペンを
動かしている。

やっぱり、凄いな。
〆切が早まったから、凄いんじゃない。

“〆切に間に合わせようとするプロ魂”

こんなに、素早く書く大野さんは見たことがない。
しかも、いつもよりも上手い気がする。

キャラクターの見せ方、
背景の迫力…………

本当に尊敬する。

「今日はコレで限界!」

一枚の紙を投げて、机に突っ伏した。

「お疲れさまです、小佐野先生」

二宮君が、ラストの紙を拾って大野さんの机にチョコレートを置いた。

「糖分補給、どうぞ」

そのチョコレートの包装をビリビリに破って口にチョコレートを放り込んだ。

大野智こと、“小佐野駿先生”は
王道バトル漫画の神様。

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