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スーパーボール

第20章 ペンシック*山*トーン

こうゆうのは本当に困る。

“先生”
“大野さん”

ちゃんと使い分けてるのに。
“先生”の時に“大野さん”に戻られるのは困る。

「小佐野先生、トーン下さい」
「えっ」
「はいよー」

え?
トーン無しなんじゃ?

「櫻井さん」

先生に呼ばれた。

「こっちの方が面白いよ」
「え?」
「描いてて楽しい」
「あ、よかった…」

「座ってないで、何かしてください」

いつもの様に二宮君に言われた。

「ごめんなさい、次の所に行かなきゃいけないんです。」

「えっ?」

先生が異様に反応した。

「もう一人担当してるの?」
「はい、今日から」

「……そう」

先生はなぜか涙声で、
俺は全くその意味がわからなかった。

「あーあ。櫻井さんいけないんだー」

二宮君からもなぜか怒られた。

俺、何かやらかした?
いや、何もしてないぞ。

「では、失礼します」

俺は、先生の涙声の理由に気付かないまま仕事を終えて家に帰った。

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