テキストサイズ

スーパーボール

第1章 カレンダー*山*復縁

櫻「…え」

よかった。
本当に、よかった。

俺が、翔ちゃんに出来ることはこんなことしかないから。

「きっと………」

言葉が詰まる。
出てこない。

ごめん、翔ちゃん。

俺、弱いから…
翔ちゃんに言葉も言えない。

帰ってきたら、一番に言うつもりだったのにさ…。

言えない。

辛くて、悲しくて……

言えないよ…。


櫻「智?」


「ごめんっ…」


翔ちゃんから離れて、背を向けながら涙を拭う。


櫻「智…どうした?」


「きっと…きっと、会いに……」


『最後くらいは、笑顔で』

こんなセリフ、俺には似合わない。


涙でぐちゃぐちゃの顔をして、
声を振り絞り、言った。


「きっと、また会いにくるから」


ストーリーメニュー

TOPTOPへ