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スーパーボール

第12章 エンジェルクッキー*にのあい*視線

「この町には、恋人がいたんだ」

耳を疑った。
空耳か、幻聴かと思ったのに君は更に言葉を続けた。

「もう、君には会わないかもしれないから言ってもいいかな…」

会わない?
嫌だよ。会おうよ。


「俺の恋人、死んだんだ」


胸を撃たれた気分だった。
そんな気分になったのは、君の声がとても静かで単調だったから。

だと、思う…。


「…事故でさ」


暑い。


「俺が引っ越してすぐに」


暑い。


「バスケやってたんだ」


暑い。


「この公園に向かってるときに、事故に遭ったんだ」


…痛い。


「手には、バスケットボールを持ってたんだよ」


痛い。


「そのバスケットボール、これなんだ」


っ…苦しい。


「血がついてたよ、こことここに」


苦しい。


「バスケをやめたら、もう一回、和也が死んじゃうことになっちゃう。」


………………寂しい。


「そうだと思わない?」

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