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商人「流石は勇者様の仲間だな。それにしても最近、物騒で国を行き来しにくかったから助かったよ」

ベンガーナの町に入ると町人たちの噂話が聴こえてきた。

リュウ「……あのヒュンケルが盗賊たちをやっつけたのか」

ゴメ「それで誰もいなかったんだね」

元魔王軍、不死騎団長……魔剣戦士ヒュンケル。

彼は大魔王バーンとの戦いで戦闘不能になったと思っていたが……

リュウ「ヒュンケル……会いたいな」

ゴメ「今会ったって相手にされないよ」

リュウ「そりゃそうだけど」

一度悪に染まった身でありながら、正義に目覚め貫き通したその姿に、男なら誰しも憧れを抱くモノだ。

リュウ「うん、もっと強くなって横に並んで戦えるようにならなくちゃね」

ゴメ「その意気だよ。さぁ、ベンガーナの王様にテランの王様から預かった手紙を届けなくちゃ」

ベンガーナは世界１の商業都市だけあって人々の往来が激しかった。

リュウ「あ、あれがお城かな？」

ゴメ「うん、きっとそうだよ！」

テランの城より数倍大きな佇まいに、僕は少し息を飲んだ。

それにしても人の行き来が激しい。

旅人「今日のオークションの目玉は『オリハルコンの剣』らしいな」

武器屋「店の宣伝様に買いたいとこだが値段が可愛くないよな……」

……そうか、ここはお城じゃない。

リュウ「デパートだ！」

ダイとポップがお城と間違えるのも無理はない。

ゴメ「じゃあお城は何処にあるんだろう？」

リュウ「誰かに聞いてみよう」

僕たちは、オークションの話をしていた二人に話し掛けた。

旅人「ベンガーナの城に行くのかい？ちょうど俺も行くから着いておいでよ」

リュウ「お願いします」

僕たちは、運良く城に行く旅人に付いていく事にした。

旅人「テランからねぇ。盗賊が捕まったから運が良かったな。モンスターが大人しくなって南海の『デルムリン島』で暮らすようになったって言うのに……今度は人間が暴れだすなんてな」

旅人はこの１年、世界中を旅して色々な悪党たちを目の当たりにしてきたそうだ。