無料で楽しめるちょっと大人のケータイ小説

・
・
・
クロコダイン「いいか、己の内にある闘気を爆発させるのだ」

僕は鉄の剣を構え、己の内にある闘気を解放した。

リュウ「はぁ！」

ｻﾞｼｭ！

クロコダイン「まだまだ威力は弱いが上出来だろう。何か格好いい技名をじいさんに付けてもらわんとな」

クロコダインは笑いながら言う。

クロコダイン「それにしても剣の筋がいいな。余程良い師に巡りあったのだな」

……良い師か。

僕に剣を覚えさせたのは父さんだ。

大きな町道場の師範をしていた父さんは、道場破りに負け……信頼を失い命を絶った。

クロコダイン「リュウ、集中力が足りんぞ。お前はまだガキだからな……ドラゴンの様な頑丈な敵に力でいっても無駄だ……技を磨き足りない力は闘気で補え」

クロコダインは豪快な性格だが、律儀な武人の気質のせいか面倒見がよく師としては優秀だった。
・
・
・
ｶﾞｷｯ！

アキーム「ま、参った！」

クロコダイン「それまで！勝者リュウ」

ベンガーナ王「アキームよ……仮にも軍の隊長ともあろうモノがそう簡単に負けてはベンガーナ軍の名折れだぞ！」

ベンガーナ王はアキームに怒声を浴びせながらも、満足気な表情だった。

アキーム「いや、正かこうも早く手も足も出なくなるとは……」

アキームの表情には、悔しさと共に、尊敬が伺える。

武人として、自分より優れているモノは素直に認めているのだろう。

ベンガーナ王「リュウよ、勇者として……と言う訳では無いが我がベンガーナ軍へ入る気はないか？」

リュウ「ベンガーナ王……」

ベンガーナ王「いや、無粋な真似をしたな。竜に同じ場所を飛び回る事をさせては持ち味はいかされぬ……我はそなたたちの戦いの行く末をしかと見届け後世に語り継ごうぞ」

クロコダインはやれやれと言った顔でため息を付いていた。

とにかく、この２週間で出来ることはやったつもりだ。

世界サミットまで後二日……更なる戦いの日は近い。