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昴「サライの攻撃が見事にいなされている。勝負あったか……」

アポロ「心技体共に互角……それ故消耗しているサライの分は悪い」

ゲンガー「無駄だ。塔での戦闘データからお前の技は見切っている」

サライ「くそ……ならば！」

サライは飛び上がり、剣から闘気の塊を飛ばした。

ゲンガー「……アバンストラッシュか？温い技だ」

ゲンガーはアバンストラッシュをヒラリと交わした。

ゲンガー「お返しだ」

ゲンガーは先程のサライと同じ構えから、ストラッシュを繰り出す。

サライ「がはっ……！」

アポロ「サライ！」

サライ「バカな……天魔の塔ではストラッシュを一度も使っていないのに」

ゲンガー「我を見くびるな。我が能力は扉に触れた者の全てをコピーするのだ」

サライ「これ迄か……」

その時だった。

力なく崩れようとしたサライの脳裏に、師アバンの言葉が過った。

『困難を乗り越える事ができるのは、勇気ある者だけです』

サライ「師よ……」

ｽｯ……

サライは剣を納め、闘気を無にした。

ゲンガー「諦めたか……強き者よ、お前との戦いは我が身が永久に語るだろう」

昴「アポロ殿、助太刀に入るぞ！」

アポロ「いや、まだサライの目は諦めていない。あれは……！」

ｻﾞｼｭ…！

正に一瞬の出来事だった。

ゲンガーの渾身の一撃にタイミングを合わせたカウンターが炸裂し、ゲンガーを両断する。

ゲンガー「……見事。アバン流『無刀陣』」

ゲンガーの身体は、アメーバ状の液体の様に溶け消えていく。

サライ「不定形の生命体か……」

アポロ「消耗した相手をコピーするとは恐ろしい敵だったな」

ｶﾞｼｬﾝ……

昴「第２の扉が現れた様だぜ。次は俺が行く」

サライ「いや、まだ僕が……」

アポロ「二人共、少し待つんだ」

アポロは掌から生命エネルギーを放出した。

アポロ「ベホマ！」

サライ「おぉ、体力が戻っていく」

昴「最上位の回復呪文ベホマか……流石アポロ殿、使い手は初めてお目にかかる」