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一条蓮 続編

第1章 僕の手

指先に唇が触れて
優しく啄まれて
何度も何度も繰り返されて
私はその甘さに酔いしれる。

一「……どんな事があっても……愛実ちゃんだけは守るから」
愛「えっ……?」

その言葉の真意を聞きなおそうとしたけれど、
次の瞬間には唇が重なり合う。

甘くて優しい口づけは
何故かどことなく切なさの色味を帯びていて、
なんだかあの夜を思い出させた。

だから私は蓮くんの背中に腕を回す。

愛「大丈夫……ここにいるから」
一「うん……うん……」

私は蓮くんの温もりに包まれた。

(蓮くん……)

でも

私はまだ気づいてなかったんだ。

この温もりの大切さと
蓮くんの心に憂いという陰が生まれていた事を。

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