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一条蓮 続編

第2章 世界で一番のお嫁さん


(あぁ……また始まっちゃった)

夏「お待たせっと……、あらあら。また始まっちゃった?」
愛「はい……」
夏「ふふ。まぁいつもの事だからね。それより、ねぇ、愛実ちゃん」

いつもよりずっと意味有りげな微笑みの夏目さんが口を開く。

夏「愛実ちゃんが今からでも俺を選んでくれるなら、お兄さん大歓迎なんだけどな。どう?思い切ってお兄さんの腕の中に飛び込んでみない?」
一「ちょっと……。時生ちゃん、全然洒落になってないからやめてくれる?」
夏「アハハ。ま、かわいい一条ちゃんのフィアンセだからね。お兄さんその辺は弁えてるつもりだけど?」
一「……」

(なんか……話題を変えないと…)

愛「え、えっと、夏目さんどうしたんですか?」
夏「え?あぁ珈琲をね、どうかなっと思って」

そう言うと、夏目さんはテーブルの上のパンフレットに目を向けた。

夏「そっか。海外ウエディングね。一条ちゃんらしくていいじゃない」
一「でしょ?やっぱり一生に一度の事なんだから、思いっきり豪華な結婚式にして、愛実ちゃんを世界で一番のお嫁さんにしてあげなくちゃ」
夏「それで海外ウエディングか。で、なにかいいプランはあったのかな?」
一「うん。これなんだけどね……」

蓮くんが開いた見開きのページに
私は言葉を失う。

志「ん?豪華客船貸切・世界一周ウエディングプラン?」
夏「これはまたすごいプランを見つけてきたね」
一「でしょ、でしょ、でしょ~♪」

ニコニコ顔の蓮くんが不意に私の腰を抱きよせた。

一「僕が愛実ちゃんを世界で一番のお嫁さんにしてあげるからね♡」
愛「で、でも……蓮くんの気持ちは嬉しいけど、こんな豪華なの、その……私……」
一「ん?気に入らない?」
愛「ううん、気に入らないとかじゃなくて……その……む……無理……」
一「無理ってなにが?」
愛「えっと、だから……えっと……」

(蓮くんが折角選んでくれたのに、金銭面で桁が違うなんて言い出せないよ……)

私はなにか言葉を探す。

夏「大丈夫だよ。愛実ちゃん。こーいうのは男がバシッと決めるものだから。ね、一条ちゃん?」

ウインクを一つ
夏目さんが蓮くんに問いかける。

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