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彼女の恋愛

第10章 暴走彼女

「なつみ、お母さん呼んできてくれる?」

「わかった」

なつみは葵にペコっと頭を下げて奥に下がった

「今のは真ん中の子?」

「はい、小学6年生のなつみです」

「は〜、大人っぽいね!小学生には見えないかも」

「菫も言ってたけどマセてるんです」

奥からバタバタ美羽が出てきた

「くるみ?こちらの方は?」

「申し遅れました。私は菫の兄で松岡 葵と申します。今回は愚弟がくるみさんを連れ回しご迷惑ご心配をお掛けしてしまい、大変申し訳ございません」

深々と頭を下げる葵に美羽はあらあらと困ってしまった

「あなたの弟さんだけの責任ではありません。くるみも高校生なんですから、自分の行動には責任があります。どうか頭を上げて下さい」

美羽が優しく葵に声をかけるとようやく頭を上げた

「弟は反省中で自宅謹慎の為、僭越ながら私が代わりにお詫びに伺いました。また改めて本人から…」

「もう充分よ!松岡さんのお母様からもご丁寧にお電話頂いて…それに菫さんにうちの子がお世話になったし、お料理までご面倒頂くなんてこちらがお礼に伺わなきゃいけないのに」

美羽が微笑むと葵もニッコリ微笑んだ

「母は人に振る舞うのが趣味のような物ですから、お気になさらないで下さい。しかし…くるみさんの美しさはお母様譲りなんですね」

「あら、嫌だわ!お世辞がお上手ね。褒めて頂いてもチョコレートくらいしかないわよ?」

美羽がくすくす笑うと葵も一緒に笑った

「じゃあ今度チョコレートに合うワインを持参しますので、ご一緒にいかがですか?」

「もう、からかわないで?」

「冗談ではなくその内、本当にお邪魔しますね。くるみさんもお疲れなので今日はこの辺で失礼致します」

葵が再び深くお辞儀をすると美羽はまたねと声をかけると足早に去っていった

美羽はくるみに告げた

「くるみ。森野家のルールよ?お客様をお見送りしてきなさい」

「うん。わかった」

荷物を玄関に置いて葵を追いかけた

「葵さん!」

「くるみちゃん、忘れもの?」

「いいえ、下まで一緒に行こうと思って」

「わざわざいいのに!」

「森野家のルールですから」

葵と肩を並べてエレベーターに乗り込む

「お母さんすげー美人だね、本気で口説きそうになっちゃった」

「楓さんが葵さんはモテるから女には困らないって言ってましたよ?」

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