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彼女の恋愛

第4章 【仮】彼女

映画はヴァンパイアである若き王と内部争いに巻きこまれた人間の女の子の結ばれないアクションがメインの恋の話

そもそも親睦会で映画なんて考えられないが委員長の独断で決まってしまった

くるみは最初興味はなかったがヴァンパイア王マグヌスを慕う町娘ミアの切ない思いに夢中になった

前王派の策略に嵌り同族で戦うことになってしまったマグヌスとようやく気持ちが通じてその晩二人は激しく抱き合う

映画にしては濃厚なシーンで陽はようやく落ち着いてきた理性がまた崩れそうになり焦った

くるみを見てみるとボーっとスクリーンを見つめている

(やばいやばいやばいやばい!)

気持ちを入れ替える為に目を擦ろうとして未だにくるみと手を繋いでいたことに気が付き、一か八かくるみの手にそっと口付けした

映画に見入っていたくるみは気付かない

陽はくるみの指の形を確かめるようにゆっくりと唇でなぞった

「!」

さすがに気付いたくるみは驚いて陽を見たが、陽はおかまいなしに続けて軽く人差し指にキスをした

キスされた人差し指に暖かい温度が伝わる

くるみは付き合ったばかりで(しかも仮)、陽のことを知らないのに何故か嫌な気持ちではなかったが対応に困った

(なに!なんで⁉︎ なんで指にキスされてるの!)

どうすればいいかわからず真っ赤になって俯くくるみに陽は耳元で囁いた

「赤くなってる…くるみ、可愛い」

ブンブンと首を振るくるみ

陽は邪魔してごめんねとそれ以上なにもしなかったが、手はずっと繋いでいた

くるみはその後の内容が全く頭に入らずただボーっとスクリーンを眺めているだけだった


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