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彼女の恋愛

第10章 暴走彼女

「図書室よりも遥かにこの状況が怖いし、裏切りだよ」

「俺が怖い?」

「…」

「そっか、ごめん」

相悟はベッドにゴロンと寝転がった

「今日練習試合だったんだけど、村瀬が怪我明けでスタメン外されて代わりに陽がスタメンだったんだよ。すごい調子良くて応援に来てた女の子達もキャアキャア煩くて気が大きくなったのかな?いつもは適当にあしらうのにどっか寄ろうよなんてあいつが言うとは思わなかった」

「…聞きたくない」

相悟は上半身だけむくっと起こしてくるみを見た

「ちゃんと聞いて。俺は昔の陽なら罪悪感を感じるけどいまのくるみちゃんを傷つける陽なら罪悪感どころか陽にだけは君を渡さない」

「私は物じゃない。陽のでも、相悟くんのでもないよ」

立ち上がってドアに向かおうとするくるみを優しく後ろから抱きしめた

「くるみ…好きだ」

「相悟くん…やめて」

相悟のデオドラントのフリージアの香りが鼻をくすぐった

「ずっと陽と二人で居るくるみを見るのが辛かった。花火大会もプールも俺が隣に居たかった。陽より先に声かけてたら俺と付き合ってくれてた?」

相悟は抱きしめながらくるみの頭に顔を埋めた

くるみはパッと前に進んで相悟から離れたが、腕を掴まれて振り向かされる

「相悟くん、そんなの今更だよ。私はあなたの事を陽の親友で菫の彼氏としか見ていなかった。それに陽のことだけど私とは距離置いているし…」

「…距離を置いているの?」

「聞いていないの?」

「そっか…ならなんの遠慮もいらないや」

相悟はくるみの顔を両手で抑えると同時に深いキスをした

「んん〜!…待って、なんでそうなるの!」

くるみは相悟を押し返して抵抗した

「距離を置いて他の子の誘いに乗るってことはくるみとの事を終わらせようと思ったからでしょ?」

「だからって相悟くんとキスする意味がわからない!なんで?」

「くるみを幸せに出来るのは陽でも村瀬でもなくて俺だから」

「私の気持ちを無視しているのに幸せにはなれないよ。それに私は相悟くんのこと好きじゃな…」

再びキスをしてくるみの唇を塞いだ

「…それは今聞きたくない。言わないで?」

相悟の顔がとても傷ついた顔をしたので、くるみはたじろいだ



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