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彼女の恋愛

第10章 暴走彼女

「むつみの面倒見てくれたのに何てこと言うの!」

「まぁまぁ、ここで両者の意見をまとめよう〜」

菫がサッと前に出てきた

「なっちゃんは爽やかスポーツ少年に未練もなく別れたいと…理由は?」

「だって束縛激しいんだもん!私が野球部のヒロくんと一緒にいたり、学級委員のショウくんと居たりするとすぐ近づいて邪魔するし!」

「ただ話してるだけじゃなくて、イチャイチャしてるからだろ!」

「おい、少年!今はなっちゃんのターンなんですけど〜⁉︎」

菫がギッと睨むと瑛人はビクっとしてくるみに耳打ちする

「あの…さっきから聞きたかったんすけど、この人誰っすか?」

「私の親友で松岡菫っていうの。最近なつみと仲良くて瑛人くんのこと相談したみたい」

「そうっすか…」

瑛人は再びしゅんとなって俯いた

「ふむふむ、束縛が激しいっと。それだけ?」

「あと見た目とかスポーツ出来たりは中の上くらいなんだけど、なんせ頭がスッカラカンで恥ずいんだよね!」

「ぐっ…」

「誰だって欠点はあるって!」

くるみが助け船を出すと菫に怒られる

「おい、スッカラカンはしゃべるな〜!」

「…すみません」

「お姉さんも勉強苦手なんすか?」

「恥かしいけどそうなの!瑛人くんも克服するなら今のうちだよ?」

「静粛に!アホの子達は私語を慎むように〜!」

菫がパンパンと手を叩く

「なっちゃん検事は言いたいことはそれだけ?」

「はい、裁判長!私は以上の理由により速やかに今野瑛人と別れ、青山大地くんと新しいスタートを歩むことを求めます」

「はぁ⁉︎お前なんでよりによって大地なんだよ!」

瑛人は今まで大人しく聞いていたがなつみの言葉を聞いて怒りに立ち上がった

「裕之や翔太ならまだしも大地は俺の親友だぞ⁉︎」

「そんなの赤い糸で結ばれてるからに決まってるでしょ?」

「こら〜! 静粛に〜!」

菫がバンバンと孫の手でテーブルを叩いたと同時に瑛人がすっと立ち上がった

「もう、いい。今までお前の事好きだったからどんな我儘も行動も許してきたけど、もう一気に醒めた。勝手に大地でも誰でも付き合えよ」

何も言わないなつみの代わりに菫が口を開く

「…少年、まだ裁判の途中だぞ?」

「なつみの勝訴でいいっす。お姉さんお邪魔しました」

「待って、瑛人くん!」

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