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彼女の恋愛

第11章 新しい一歩を踏み出す彼女

(村瀬くんに怒鳴ったの謝らなくちゃ…)

「笑ってると思ったら、困った顔して…百面相の練習か?」

入り口に小島が道着姿で立っていた

「先生!脅かさないでくださいよ」

「休みの日に私服で来て何してんだよ」

「用事ついでに空気変えしようと思っただけです」

「用事って、矢川とイチャつくこと?」

「イチャついてなんていませんよ」

「抱きあってたの見たぞ、まったく祭日とはいえ神聖な学舎で何を考えてるんだか…」

「別れ話をしてたんです …っていうか覗きとか最低」

「別れ話〜?どう見てもそう思わないぞ」

「先生、話はぐらかそうとしてるでしょ?」

「中庭なんか誰にでも見えるっつーの!現に村瀬も見てたし」

「村瀬くんが?」

「お前ら抱き合ったの見て行っちゃったよ。たぶんあいつお前に気があるぞ?」

くるみの頭の中でまとまりかかった悩みがぐるぐるまた回り始めた

「まったくこんなに散らかして…」

床のコピー用紙を小島が拾い出したので慌てて取り返したが、小島はバッチリ見た後だった

「…森野さん?6股とか派手すぎはしませんか?」

「最悪…先生、すぐ私をあの世に送ってください!」

「俺は地○少女かw まー、個人の自由だが先生はやっぱり健全な付き合いが良いと思うぞ」

「私も健全な恋愛を望んでいます!」

「なら一人にしぼれよ」

「恥かしながら自分の気持ちがわからないんです」

「じゃあその6人一人一人に会って確かめてみれば?最終的に全部蹴って俺とかオチやめてくれよ?」

「先生って…やっぱりいいです」

「おいおい、そんな冷たくするなよ。おっと!そろそろ道場に顔出さないとガタガタ言われるな」

「…剣道部、可哀想ですね」

「自由な練習も時には必要なんだよ!じゃあな魔性の森野」

「本当にやめてください!」

「冗談だよ、鍵ちゃんと閉めろよ」

小島はケタケタ笑いながら出て行った

くるみは小島が去ったのを確認すると書いたメモをビリビリに破いた

(一人一人か…確かに一理あるかも…)

くるみは窓を閉めて帰り支度をすると帰ろうと思ったが、ふと本棚から“牧師館の殺人”を抜き取って貸出ノートに記入した

本をカバンに入れて出ようとすると入り口の横で座り込む村瀬がいた

「村瀬くん?」

「矢川と仲直り出来て良かったですね、おめでとうございます」

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