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彼女の恋愛

第13章 村瀬と彼女

「ちゃんと説明して下さい。どうして今この場にいるのですか?」

「あの、村瀬くん…説明はまた後でゆっくりじゃダメかな」

村瀬は周りの好奇な目線は特に気にならないみたいだ

「ダメです!授業中ずっと上の空でしたから、いま納得のいく説明をお願いします」

「立てこんでる時に申し訳ないんだけど、また今度にしてくれるかな?」

村瀬とくるみの間に相悟が割って入る

「実は文化祭の実行委員に俺とくるみちゃんが決まって、次のロングホームルームまでに打ち合わせをしたいんだ。村瀬も知っての通り俺にはあまり時間がないから休み時間を無駄にしたくないんだよ、悪いな!」

村瀬はいつもの仏頂面で相悟を見ていたが、くるみに向き直すと昼休みにいつものところで待っていますと言って教室を出て行った

「村瀬に勝手なこと言ってごめんね? 周りの目もあるしくるみちゃん困っていると思って…後でゆっくり話しな」

「気を使ってくれてありがとう、相悟くん」

「くるみの取り合い⁉︎ モテる女はツライですね〜」

「森野さん、罪作りなやつですな!」

菫と陽が他人事みたいに仲良くつぶやいていたので、くるみは教科書を丸めてポコポコ二人を殴った

昼休みになるとご飯を食べ終えたくるみは菫に図書室に行くことを伝えて向かうと既に村瀬が廊下に立って待っていた

「待たせちゃった? いま、開けるね」

鍵を開けると村瀬がすぐに入り、鍵を閉めた途端にくるみを抱きしめた

「ちょっ…村瀬くん?」

くるみが戸惑うと村瀬はくるみの頭に手をあててさらに抱き寄せた

「…会いたかったです」

「大袈裟だよ、一昨日は会ってたじゃんw」

「写メもらったの間違いでした…見れば見るほどくるみに会いたくなる」

くるみは自分も村瀬の首に腕を通して抱きしめたい衝動にかられ、ごまかす様に慌てて話し始めた

「菫のお兄さん達の友達に岬さんってお金持ちの人がいて、その人のコテージで足止めになっていたんだけど、執事さんが自家用ヘリを出してくれて学校に間に合ったの」

「それなら教えてくださいよ…くるみの意地悪…」

抱きしめていた手を離してくるみの目を見つめるように語りかける村瀬にドキドキして目を逸らすと村瀬はポンと頭を撫でた

「何はともあれ無事で良かったです」

「心配かけてごめんね」

「ところで文化祭の実行委員になったのですか?」

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