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彼女の恋愛

第13章 村瀬と彼女

「それね、なったんじゃなくてならされたの」

「と言うと?」

「菫と陽に売られたんだよ!本当はあの二人が実行委員だったの。でもせっかくの文化祭だから楽しみたいと思って気持ち切り替えて頑張るよ」

予鈴が鳴った

「もっとこうして居たいのですが、そろそろ行きましょう」

「そうだね!急ごうか」

村瀬は名残惜しそうにくるみの頭に手を添えるともう一度頭をポンと撫でて共に図書室を後にした

「今日はいつもと違って大人っぽいですが、俺はいつものくるみも好きですよ」

ふっと笑って顔を覗き込む村瀬にくるみの心拍数は上がった

(なにドキドキしてんだろう…村瀬くんのこと好きだからだよね。でも理由は?)

モヤモヤしながら教室に戻り、廊下でじゃあ!と村瀬と別れた



放課後、くるみは図書室に向かうと中に入り窓を開けた

本の整理をしていると村瀬が来てくるみに部活に行ってきますと伝えて軽く抱きしめて出て行った

暖かい日差しの中、窓から入るそよ風に導かれ窓枠に頬杖をついて外を眺めた

(ん〜、気持ちのいい時間だな〜)

ぼんやり景色を眺めていると正門前に一台のリムジンが止まった

(大きい車だな…)

リムジンの助手席から葛西が降りて後部座席のドアを開けるとシュンと楓が降りてきた

(なんで⁉︎)

くるみは慌てて携帯を取り出し楓に連絡をした

「もしもし?もしかして楓さん、シュンさんと学校に居ませんか?」

「あれ、ビックリさせようと思ったのにバレてる? どこで見てる…あ!居たぁ♡」

こっちに向かって手を振る二人に呆れてくるみは図書室に鍵をかけて正門に向かった

「こんなとこで何してるんですか? 菫なら帰りましたよ」

「くるみちゃん♡ 菫に用はないよw」

「ごめんね〜くるみちゃんの制服姿が見たくなってさ! 俺、男子校だったから…やっぱり可愛いな」

シュンがあっけらかんと答える

「ダメですよ!学校に迷惑です」

「冗談だよ!あとくるみちゃん忘れ物〜♡ 俺のプレゼント忘れちゃダメじゃん?」

大きな箱を渡されて中を開けると今朝来ていたパジャマの他にもルームウェアやランジェリー、安眠グッズ、山梨のお土産が入っていた

「シュンさん、私こんな高そうな物は…借りた服はクリーニングに出してお返しします」

くるみの言葉を聞いて葛西は少し驚いた様に目を見開いた

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