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彼女の恋愛

第13章 村瀬と彼女

「急かして悪いな、誰かに見られると特定の生徒に依怙贔屓するなとかいうやつもいるから」

「いいえ、どうやってこの大きい箱を持って帰るか悩んでいたので助かりました!」

「おう」

小島はポケットからタバコを取り出して口に咥えたが、ふと咥えたタバコを小銭入れに置いた

「先生、私気にしないからいいですよ?」

「お前が気にしなくても俺が気にするの。家、こっち?」

「はい。たぶん」

「たぶん〜?」

「車は滅多に乗らないから。でも方角的には合ってると思います」

「怪しいな…」

「富士見町5丁目ってこっちですよね?」

「…反対だ」

「ウソ!すみません…」

小島は脇道に入ると助手席に手をついてバックをするのに顔を近付けた

(なんで男の人のドキッとする仕草にこれがランクインするかいまわかったかも…)

「なんだよ、方向オンチ森野!数学だけじゃなくて地理もダメなのか?」

「う…」

Uターンして赤信号で泊まると斜め前にラブホがある

「6股中の森野、忠告だがここは使うなよ?この道は意外に教員通るからな」

「だから6股じゃない…って…」

制服を着た上にスーツの上着を羽織った女生徒と英語教師の須藤先生が手を繋いで入っていくのを見たくるみと小島

唖然としていた二人だが小島が口を開く

「この件は俺からあのバカ須藤に伝えるからお前口外するなよ?」

「わ、解ってますよ!」

「一緒にいたの3年生だ。受験も近いし動揺させると可哀想だからな」

「先生って思っていたより適当じゃないんですね…」

「褒めても実行委員の件は取り消さないぞ?」

「あ、忘れてた。 本当、ひどい!」

「楽しみにしてるからな!」

しばらく走るとくるみのマンションに着いた

「先生、ありがとうございました」

「森野…いろんな噂を耳にするが何か困ったことがあれば話くらいは聞いてやるから相談にこい」

「解決はしてくれないんですか?」

「世の中は厳しいんだ!甘ったれんなw」

小島は今度こそタバコに火をつけると走り去っていった

(本当、口は悪いけど優しいよね)

マンションに入ろうとするとお姉!と声をかけられた

「見ーてーたーよ♡ 誰?今のハリアーの人。それにそのデカイ箱!」

「ハリアー?」

「なつみが今一番かっこいいと思ってる車だよ♡」

「なんでそんなのに詳しいのよ?」

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