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彼女の恋愛

第13章 村瀬と彼女

A組の教室の前の廊下に村瀬が立っていてこちら側を見ていた

くるみが村瀬に手を振ると村瀬が心なしか笑った気がしてくるみは嬉しく思ったが、すぐに予鈴が鳴ったので教室に入った

菫が遅かったね〜と話しかけてきた

「職員室に寄ってたら遅くなっちゃった」

「文化祭の件〜?」

「違う…夏休みの宿題を提出したの」

「くるみちゃん?もう9月も後半ですけど…まだやってたの〜?」

「先生にも呆れられて問題集、追加されちゃった」

問題集を見せると菫は露骨に嫌な顔をした

「菫、ジーナさんのお店の場所わかる?ドレスを返したいんだけど…」

「日曜日に会うから渡そうか〜?」

「それすごい助かる! じゃあ今日一度家に帰ってから渡しに行くね」

「了解〜」

授業が終わり理科室に向かおうとすると教科書を忘れたことに気がついた

「あれ、理科の教科書がない… 忘れたかも」

「なら、A組のダーリンに借りなよ〜 早くしないと時間ないよ? 」

「ダーリンじゃないけど…借りてくる。菫、先に行ってて! 」

くるみがA組の教室を覗くと村瀬は窓側の席で本を呼んでいた

席の前に立つとゆっくり顔をあげた村瀬がびっくりしていた

「くるみ…どうしました?」

「それが理科の教科書を忘れちゃって…持ってたら貸してもらえると有難いんだけど」

机の中から取り出しくるみに手渡す

「どうぞ?」

ふっと笑って手渡す村瀬にドキドキするくるみ

「終わったらすぐ返すね」

「5限なのでゆっくりで構いません。早く移動しないと間に合いませんよ?」

「…ありがとう。じゃあまた後で」

くるみは教室を出ようとした時に黒板近くの入り口に園川のグループが固まってチラチラこちらを見ていたが、園川に微笑むと理科室に急いで移動した

菫が席取っといたよ〜と手招きしたので椅子に座り、教科書をパラパラめくると中はまっさらで綺麗だったが何度も読み込んだ跡があった

(村瀬くんって本当、努力家だな…)

くるみ達の実験席に陽と相悟が座り、授業が始まった

「くるみ、奈緒と話したんだって? あいつ、喜んでたよ」

「奈緒?」

「陽が浮気した子だよ、園川奈緒」

相悟が涼しげに言い陽がムッとした顔をした

「あぁ、園川さんの下の名前わからなかった。奈緒って言うんだ。職員室から出た時に話しかけられたんだよ」

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