テキストサイズ

彼女の恋愛

第13章 村瀬と彼女

「そうだったんだ…あの村瀬くんが抱きしめたり、笑ったりしていたから私まだ動揺してるよ〜!」

園川は人懐こい笑顔で笑うと、くるみもつられて笑った

「びっくりさせてごめんね。でもあの村瀬くんってどういう事?」

「超がつくほど真面目で無口で常に無表情。たまに話したと思えば何かについての指摘だけで笑ったり、怒ったりするの見たことないからアンドロイドかもって噂があるくらいw 」

「それウケるw」

二人でもう一度声を出して笑った

「森野さんは日曜日の大会行くの?」

「くるみでいいよ! 行く予定だけど…園川さんは?」

「私も奈緒でいいよ。一応行く予定だから向こうで会おうか」

ちょうど話が終わった頃にガラっとドアが開いてプリントを持った小島が入ってきた

「お!園川が図書室にいるとは珍しいな〜!」

「もう行きますけどねw じゃあね、くるみちゃん」

奈緒は手を振って図書室を出て行った

「ネットで調べてやったぞ」

「ありがとうございます」

受け取るとくるみはカバンから新しい芳香剤を取り出した

「なんだ、それ」

「この部屋いくら風通ししてもカビ臭いからビーズ型の消臭剤持ってきたんです。あれ、中の紙が開かない?」

ググッと力をいれるくるみ

「おい、そういうのは力を込めればいいってもんじゃないぞ、説明書は…」

ぱぁん!とすごい音が鳴って消臭ビーズが飛び散った

「全くなにやってんだよ!」

「す、すみません」

くるみがオロオロしていると小島はくるみの後ろにある箒を取ろうと足を踏み出すと、柔らかいビーズを幾つか踏んでしまいバランスを崩した

「うわ!」

ドサっ、ゴン!

前のめりに転んだ小島はくるみごと床に倒れ、後ろ向きに倒れたくるみは頭とおしりを床にぶつけた

「痛い〜!!」

気づくと小島の顔がすぐ近くにあり、押し倒される拍子に小島の腕を掴んでいたくるみは慌てて手を離した

「先生!退いて」

くるみが小島から離れようとすると髪の毛に痛みが走る

小島のシャツのボタンに髪が絡まったようだ

「悪い、ボタンに髪が絡まったみたいだ。いま取ってやるから待ってろ」

小島は髪を解くのに集中していたが吐息が耳にかかるくらい近い距離で、くるみの心臓は大きく高鳴っていた

ブチっ!

「取れたぞ」

「先生、髪千切っても良かったのに…ボタン取ったの?」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ