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彼女の恋愛

第13章 村瀬と彼女

くるみは体育館近くの自動販売機でスポーツ飲料を買い、イチゴの付箋にお疲れ様!と書いて入り口の中にそっと置いた

チラッと確認すると村瀬はくるみには気付かず角度を調整するように何度もシュートしている

(声かけたいけど我慢、我慢!)

体育館から離れると時計を確認して家まで走って帰った


村瀬は何度かシュートの調整をしていたが、フーとため息をついた

(19時30分か…そろそろ帰るか)

周りに散らかったボールを拾うと入り口にペットボトルが置いてある

誰かの忘れ物かと思ったが見覚えのあるイチゴの付箋に気付き、ペットボトルを取り上げるとくるみの字でお疲れ様と書いてあった

すぐに周りを確認しようと思ったがペットボトルが緩くなっているのに気がつき、くるみが既に居ないことを知った

(いつ来たんだろう…自主練始めたのが18時くらいだからその辺りか?)

村瀬は一口ドリンクを飲むとボールの片付けを再開した



「お姉!なんか良いことあったの?」

「ん〜?別にないよ」

「嘘!いつも後片付けが面倒くさいってあまり作ってくれない天ぷら作ってるじゃん」

「献立が思いつかなかっただけだって。それになつみが後片付けしてくれるならいつでも作るよ?」

「絶対なんかあったよ〜 怪しいな!」

なつみがまだ何か言っていたがくるみの耳には届かなかった

夕飯を済ませてお風呂に入り部屋に戻って携帯を見たが村瀬からラインや着信はなかった

(疲れて寝ちゃったのかな… まさか倒れたりしていないよね…)

気になってラインを送ってみた

[遅くまでお疲れ様。無理しないでね、おやすみ]

いつもならすぐに既読マークが付くのになかなか付かない事が気になる

(私いつからこんな風になったんだろう…陽の時なんか携帯あまり見ていなかったのに)

一旦携帯を閉じて小島に押し付けられた問題集を開く

すぐにやる気が失せたが村瀬の何度もゴールに向けて打ち込む姿を思い出し、もう一度取り掛かった

5分くらい問題集とにらめっこをしていると携帯が鳴った

ディスプレイを見ると村瀬からだった

「もしもし」

「くるみ、いま下に居るんですけど降りてこられますか?」

「え⁉︎ うちに居るの?」

「ええ、マンションの下に居ます」

「わかった。ちょっと待っててね!」

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