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彼女の恋愛

第13章 村瀬と彼女

「お姉!遅かったね〜 」

「ただいま。まだ起きてたの〜?」

「瑛人とスカイプしてたら遅くなっちゃった。もう寝るよ」

「おやすみ」

くるみは冷蔵庫に向かい明日のお弁当の仕込みを気合い入れて準備し始めた



村瀬は自室に戻ると殺風景な部屋がくるみが居なくなった後だとますます暗く陰気な感じがして嫌になった

電気をつけると一番に目に飛び込んでくるのは2枚仲良く壁に貼られたイチゴの付箋

先ほどまでくるみがここに居たことが信じられないが乱れたベッドがくるみを押し倒していた事を物語っている

しばらくぼーっとベッドを見ていたがパソコンの電源をつけると、先ほどくるみが削除した写真の復元を始めた




朝5時、くるみはお弁当の準備をする

からあげ、卵焼き、ウィンナー、きんぴらごぼう、ほうれん草のお浸し…

何度も作っていて味見をしなくても普段なら自信はあるが、今日は普段と違い何度も味見をした

(う〜ん、なんかいつもと違う気がする…)

「おはよう! いい匂いね」

美羽が起きてコーヒーを注ぐ

「お母さん、きんぴらいつもより味濃いかな?」

「どれ?」

美羽はヒョイっと摘んで口に入れた

「いつもと同じ。美味しいわよ?」

「そっか。なら、大丈夫か…」

「今日は随分気合い入ってるわね!ご飯も炊き込みご飯だし…新しい彼氏出来たの?」

「まだ彼氏じゃないんだけど…お弁当渡す約束してるの」

「あらあら♡ 若いわねー! でもその子のおかげで私も昼食が楽しみだわ」

美羽はくすくす笑うと朝食の準備を始めた

くるみは美羽の隣でお弁当におかずを詰め込みながら村瀬がこのお弁当を開けた時にどんな顔をしてくれるか想像して早く渡したくなるのだった

いつもより早く学校に着いたくるみは下駄箱で靴を履き替えようとした時に練習服で慌てる相悟とすれ違った

「相悟くん!どうしたの?」

「くるみ…村瀬が練習中倒れたんだ!先生呼んでくる」

「え!」

急いで向かったが朝練中の生徒達で体育館の入り口はごった返していて中に入れず諦めて教室に戻った

(大丈夫かな…昨日は元気そうだったけどどうしたんだろう)

朝練を終えた陽と相悟が教室に入ってきた

「相悟くん!一体何があったの?」

「大丈夫!なんか貧血っぽいって先生が言ってた」

「そう…良かった」

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