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彼女の恋愛

第13章 村瀬と彼女

じゃあと告げてくるみは逃げるように保健室を後にして教室に戻った

「くるみ、保健室に行った?」

「うん。やっぱり貧血だったみたい」

相悟に聞かれ答えると菫がなになに?と聞いてきた

「陰険眼鏡、倒れたんだって〜? 大丈夫だったの?」

「うん。空腹で倒れたみたい」

「なにそれw どんな生活してんだよww」

「いや、週末までお家の人が留守って聞いたからお弁当渡す約束したの。そしたらすごい喜んでくれて…より美味しく食べるために朝食抜いて朝の5時から運動していたみたい」

「マジで!ちょっ…眼鏡ツボだわww」

「村瀬…意外に可愛いやつだなw」

菫と相悟は堪えきれず笑っている

「言い聞かせたからもうやらないと思うけど…なんかそういうところも呆れる反面、キュンとしちゃうのって病気なのかな?私」

「「うん!」」

菫と相悟が激しく頷くと同時に本鈴が鳴り、先生が入ってきた


(やっぱり病気か。村瀬病、村瀬ウィルス、村瀬症候群、村瀬菌…)

いろんな形のミニチュア悪魔風村瀬がポンポン出てきて頭の中がいっぱいになり息苦しくなった

「ワクチンが必要かも!!」

ガタッと立ち上がりハァハァ息を切ると、田中先生は拍手した

「ローマセウェルス朝、5賢帝時代末期には天然痘による被害が拡大したの。森野さんの言う通りワクチンがあったら不満による暴動は起きず、混乱には至らなかったかもね。あなたがそんなに西洋史が好きだったとは意外だわ」

「あ…ハイ。ジャンヌダルクは好きです」

「…聞いていなかった罰として来週の金曜までに西ローマ帝国の滅亡についてレポート提出しなさい」

「西ローマ?北や南もあるんですか?」

「…レポートは20ページから30ページ以内で。ジャンヌダルクが好きなら百年戦争についても同じようにレポート書いてもいいわよ?」

(さ、最悪…)

「早く座りなさい。授業再開します」

泣きそうになりながら座ると前に座っている菫がこちらをみてバカと口パクしている

授業が終わるとくるみはため息をついていると、菫が寄ってきた

「くるみ、マキコ怒らしたらダメだって〜!ワクチンがどうしたの〜?」

「いやこっちの話…」

「くるみちゃんレポート手伝おうか?」

相悟が苦笑いしながらくるみに声をかけた

「ありがとう。でも頑張ってみる…」

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