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彼女の恋愛

第13章 村瀬と彼女

「あ、くるみちゃん睫毛ついてるよ」

「え〜貴重な睫毛が…どこ?」

「右目のすぐ下」

自分で取ろうとすると相悟が取ってくれた

「ありがとう」

「どう致しまして?」

笑っていると陽と奈緒と鈴木が一緒に教室に入ってきた

「あ〜、相悟ちょっといいか?」

鈴木の顔を見た途端に相悟の顔が険しくなり、陽と奈緒は顔を合わせて気まずそうにした

「なに?」

「鈴木がさ〜ちょっと向こうで話したいんだって」

「もうすぐ時間だから行きたくない」

相悟の突然の塩対応に菫とくるみは目を合わせてその場を離れたかったが、陽がガシっと二人を掴んだ

「な、何楽しそうに話してたんだよ(頼む、行かないで!)」

「別に〜何も話してないよね〜(ふざけんな!離せ)」

「うん。授業の準備があるし…」

それを聞いて鈴木はキッとくるみを睨んで相悟に話しかけた

「ねー、相悟くん。授業サボって少しおしゃべりしない?」

「無理」

「え〜、 でもカラオケの時に少し話したくらいでその後は全然機会がなかったでしょ? 私、話したいな」

「鈴木さん、機会がなかったのは俺が避けていたからだよ。この際ハッキリ言うけど逆恨みしてくるみちゃんに八つ当たりしたり、学校でならまだしも家の近くで待ち伏せとかすごい迷惑なんだ。俺が万が一にも君と付き合うことはないから今後一切関わらないでくれるかな?」

凍りつくようなどす黒い笑顔を浮かべる相悟に鈴木はその場から走って逃げた

「相悟くん、いま聞き捨てならないこと言った? くるみに八つ当たり?」

「陽、知らなかったのか? てっきり園川さんから聞いてると思ったけど」

「奈緒、どういうこと?」

菫は急に楽しそうに何々と周りを見渡したが、くるみは早くこの場から去りたかった

「ごめんね。リカがわざとぶつかったり、くるみちゃんがA組に来るたびにヒソヒソ文句言ったりするの止められなくて…くるみちゃんには謝ったんだけど陽には言えなかった」

「陽、奈緒ちゃんに当たっちゃダメだよ! 奈緒ちゃんの所為じゃないし、私は気にしていないから」

「奈緒、そんなやつの為に相悟のこと俺に協力しろって言ってたのか? 」

「…ごめんなさい。頼まれて断れなかったの」

シンと辺りが静まったところで本鈴が鳴り、奈緒は教室を出て行った

「くるみ、気付かなくてごめんな」

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