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彼女の恋愛

第13章 村瀬と彼女

「キモいこと言わないでくれる〜?」

エレベーターが5階についた

「え!可愛くない? 私が意地悪して褒めたりすると真っ赤になったり、ヤキモチ妬いたり、私が書いた付箋を大事に壁に貼ってたり…」

「ハッキリ言うけど全然可愛くない」

「え〜?でも…」

くるみは鍵を開けて中に入ると玄関から奥に見えるダイニングで美羽と葵がキスをしていた

「お、おかあさ…」

「…葵」

くるみはパクパクしながら指を指してその場から動けなくなり、菫は葵に近寄るとパァーンと平手打ちをした

「痛って!」

「あらあら…見られちゃったわ〃」

葵は蹴られた肩を撫でて、美羽は恥ずかしがっている振りをして頰に手を置いている

「おあ、おきゃ、おく…」

「ゆっくり言いなさい? お、か、あ、さんでしょ?」

「お母さん!葵さんとなにしてるの〜!!」

くるみが涙目で美羽を問い詰めている横で菫は葵の襟首をつかんで締め上げていた

「このクソ兄貴! お前のターゲットは金持ちのババアだろうが!なんでくるみのママに手だしてんだよ!!血迷ったか⁉︎」

「あーもう、ごちゃごちゃうるせー!」

美羽が赤くなりながらもくるみと菫を宥める

「違うのよ、びっくりさせてごめんなさい。キスはふざけていただけで葵くんとお酒を飲んでいただけなの」

「美羽ママ!説明が全然納得いかないよ〜!」

「ちなみに俺はふざけてないよ」

「葵くん…」

葵が菫にぶたれた頰を摩りながら静かに話す

「俺はくるみちゃんが好きだったから楓が酒飲ました件やBBQの件のお詫びで美羽さんに媚び売るために誘って食事に行ったんだ。で、その食事の途中から自分でも気付かない間にすげー惚れてた。職場にお迎えに行ったり、たまに一杯飲んだりして今日確信した。俺は美羽さんが好きだ」

くるみは自分ごとのようにドキドキして、菫はドン引きしていた

美羽は返事に困り俯いた

「ごめんなさい、やっぱり一緒にいるべきではなかったわ」

「なんで? 俺が若いから信用できないの?」

「葵くんはいい子よ?楽しいし気遣いもあって一緒に居ると時間を忘れちゃうわ。でも私は3人の娘の母親で今年36歳になるおばさん。前途有望な若者の将来を邪魔出来ないから…」

「俺の夢は3姉妹の父親になる事だったから無問題」

「葵くん…? 困らせないで」

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