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彼女の恋愛

第13章 村瀬と彼女

「ちょっ!お母さん?」

「ちゃんと帰るからー!」

プッ、ツー…ツー…

くるみはため息をついて葵に電話をかけた

「もしもし?」

「葵さん、少し会えますか?」

「ごめん…今は誰にも会いたくない」

「お母さんが帰ってこなくて探しているんです」

「美羽さんが?いつから?」

「なつみの話では夕飯作って出て行ったって…たぶん19時くらい」

「今からくるみちゃんの家に向かう。15分くらいしたら着くから下降りてきて?」

「迷惑かけてすみません。待ってます」

葵との電話を切るとくるみは動きやすい格好に着替えた

(葵さん、嘘ついてごめんなさい)

言われた時間に降りると暫くして葵の車が来た

「葵さん、こんな時間に呼び出してすみません」

「いや、大丈夫。それより携帯かけても出なくて…どこか行きそうな場所わかる?」

「その前に少しお話しませんか?」

「…もしかして嘘?」

「いえ、お母さんが居ないのは本当です。居場所に心当たりはあります」

「じゃあ…」

「葵さんの気持ちが聞きたい。お母さんは過去たくさん傷ついてきたからこれ以上は傷ついて欲しくない」

「俺の気持ちか…なんて言えばくるみちゃんに信じてもらえるかわからないけど。…初めて美羽さんに会った時はまだくるみちゃんに気があって印象良くしようと挨拶したんだけど、あの人の持つ優しいオーラに包み込まれるような変な感じがした。それからしばらくしてバーベキューの電話で謝罪した時も同じ感じがして興味が湧いた」

くるみは黙って聞いている

「バーベキューから帰った日に電話でアポ取って飲みに誘っていろんな話をしている間に、コロコロ変わる表情やクシャっと笑う笑顔に惹かれて迷惑覚悟で職場に迎えに行ったり、一杯飲んで帰ったりしてる間に頭の中はいつの間にか美羽さんで一杯になってた」

「お母さんも葵さんが好きなんだと思います。でも冒険出来る年じゃないし、過去の失敗に怯えているし、何より私達の存在が足枷になっている。そんな母を支えてあげられますか?」

葵はフッと笑った

「俺はまだ美羽さんからしてみればガキかもしれないけど年齢なんて問題じゃないんだ。美羽さんがまだ付き合うとか考えられないなら今の関係を続けて支えたいと思ってる」

「…わかりました。私、葵さんを信じています」

「くるみちゃんありがとう」

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