テキストサイズ

彼女の恋愛

第13章 村瀬と彼女

「さっき愚痴を言う電話があったんです。駅前のスナックって言ってたんですけど昔から行きつけがあって確かドラッグストアの2階だったと…」

「よし、行こう」

葵と車で駅に行ってスナックに向かうとカウンターで肘をついてヤケクソに飲んでいる美羽の姿があった

「ジーナの店にいたくるみちゃんみたいw」

「…言わないでください」

くるみが美羽に近づくと美羽はくるみと葵の姿を見て目を丸くしてびっくりした

「お母さん!こんなとこでくだ巻かないで葵さんとちゃんと話して!」

「なんでここに…」

「美羽さんここ座っていい?」

葵が美羽の隣に座り手を取って静かに話だした

「俺はまだ学生だし信用できなくて当たり前だけど、それでも美羽さんの隣に居たい。こうやって隣に居られれば形はどうであろうと構わない」

「葵くん…」

くるみは二人の姿を見て満足そうにスナックを出た

(こんな時間だし急いで帰ろう…ただでさえ変な人寄ってくるから)

下を向きながら駅前を早歩きで歩いているとねぇ?と声をかけられる

「くるみちゃん?」

名前を呼ばれ頭をあげると創の姿があった

「先輩、こんな時間に会うなんて奇遇ですね」

「寝付けなくて少し散歩していたんだ」

「こんなところをですか?」

「病院の静寂で暮らす日々だったから街中の喧騒が心地いいんだよw くるみちゃんはなんでこんな時間に?」

くるみは返答に困ったがニッコリ笑って答えた

「探し物をしていました」

「え!見つかったの?」

「無事に見つかりましたよ」

「でもこんな時間に女の子が1人で危ないよ〜。お家どこ?」

「富士見台の方です」

「途中まで送る!この辺は危ないから」

「でも先輩…無理したらまた学校来れなくなっちゃいますよ?」

「じゃあ早く帰ろう!」

創はくるみの隣に立つとあっちだよね?と歩き出した

「聞いてもいいですか?先輩って何の病気だったんですか?」

「喘息と肺炎、昔から呼吸器官が弱いんだよ」

「大変でしたね…でもこの辺は空気も悪いし心配です」

「くるみちゃんに心配してもらえるなんて感激だな!こんなとこに居て良かった」

ケラケラ笑う創にくるみは戸惑ったが心配しないでと頭をポンと触られて一緒に歩き出した

「女の子に頭ポンするの夢だったんだ〜。くるみちゃんは俺の夢をたくさん叶えてくれる」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ