テキストサイズ

彼女の恋愛

第5章 期限付きの仮彼女

「菫…ありがとう」

「うん!ウチもありがとう!」

菫が少し躊躇って話し出した

「前にくるみがイヂめられてたって言ってたけど、実はウチもなんだ」

「え…?」

「ウチ小学生の時はすごく地味だったの。自営だから親に構ってもらえなかったし、服は兄貴のおさがりでさ〜。運動が好きだから髪もショートで男子といる方が多かったの」

くるみは菫の過去が信じられなかった

「すると女子にやっかまれてシカトされたり、冷やかされたり。噂されるのが嫌みたいで今まで仲良くしてくれた男子にも無視されるようになったから、中学入ってギャル目指したんだよね〜」

菫は遠い目をしていたがふっと笑い出した

「でも結局ギャルって浮いてたから女子は近寄らなかったけど、男子は声かけてくれるようになったの。その時に友達とかくだらね〜とか思ってたけどくるみに会って考え変わった〜」

「だからね、くるみはウチのたった1人の友達!ウチだけはいつもくるみの味方♡」

「菫…話してくれてありがとう。私も菫の味方だし、唯一の友達だよ」

二人は笑って抱き合った

タイミング良く後半戦が始まった

2年の代わりに陽と相悟が交代して出た

くるみと菫は声を出して応援した。その甲斐あってか27-25で接戦だったがなんとか勝利した

「お疲れ様〜♡ 相悟チョーかっこよかった〜♡」

ありがとうと微笑んで菫の頭をポンポン叩く

「陽!お疲れ様。シュート決まってたね!」

「おう。でもくるみが来てくれたのにスタメンで出られなかった」

陽は悔しそうにスネた子供の様な顔をした

「何ショボくれてんだよ〜!勝ったんだから喜べ〜!」

菫が陽をど突いた

くるみはどう応えればいいかわからなかったのですごく助かった
返事によっては傷付ける怖れもあり詰まってしまったのだ

「痛っ、こいつ今日こそ許さねー!」

「へつ!チビの攻撃が届くかよ〜!」

プチっと音がした
相悟が慌てて菫の口を抑えて謝罪する

「陽、悪い。菫にはよく言っとくから俺に免じて許してやってくれ」

「…別にいいよ」

陽は荷物を片付けてくると言ってその場を離れた

「菫、陽に【チビ】は禁句だから」

「へ? そうなの? 」

「あいつ元々コンプレックスだったんだけど、村瀬とちょっとあって今は禁句になった」

「村瀬くんと?」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ