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彼女の恋愛

第14章 カレーと彼女

「その手の冷やかしはやめろと言ったはずだけど?」

ボトルに水を入れるくるみの肩に寄りかかるように陽が相悟にヒヒっと意地悪な笑いを見せる

「宮澤に矢川、水の準備は…」

給湯室の中に入った村瀬は仏頂面で禍々しいオーラを放った

「矢川、今すぐ離れてください」

「怒るなよw くるみコレ返す!」

陽がニット帽をくるみの頭に被せてボトルを持って相悟と給湯室を後にした

「なんであいつらと一緒にいるんですか?」

「入り口で相悟くんと会って手伝っていたの。マネージャーさんお休みで大変なんでしょ?」

「なんで矢川に触られてるんですか?」

「陽が相悟くんをからかってたんだよ」

「なんで宮澤をからかうのにくるみを触る必要があるんですか? くるみは宮澤をからかいたかったのですか? 矢川なら触られていいんですか?」

「…落ちついて」

「…すみません。でも答えてください」

「肩に手を乗せた時はボトルに水を入れていたの。私は相悟くんをからかおうとは思わないけど、陽が肩に腕を乗せても良くも悪くも思わない」

「俺は嫌です」

「嫌な思いさせてごめんね。 でもこれからこういう事がある度に過剰に反応して嫌がればいいの?」

「…」

「試合前にごめんね。…観客席に行ってる」

給湯室を出ようとすると後ろからギュッと抱きしめられた

「…幼稚なヤキモチで申し訳ないのですが、くるみを失うのが怖い…。出来れば箱の中に閉じ込めていたいくらいです」

「隆盛…もっと自分に自信を持って? 陽が肩組んだり相悟くんと二人っきりになる事があっても、私が好きなのは村瀬隆盛だよ」

振り返ると顔を真っ赤にする村瀬

肩に腕を絡めて背伸びをして優しいキスをした

「信じてる…試合頑張ってね!」

くるみは今度こそ給湯室を出ると観客席に向かった

2階に上がると下の真ん中の方から奈緒がくるみちゃん!と手招きをする隣には鈴木が罰を悪そうに座っていた

(鈴木さん…相悟くんにあんなにはっきり言われていたのに本当に大好きなんだな…)

くるみが奈緒のところに行くと人懐こい笑顔で横に座らせた

「くるみちゃんのロンT可愛いねー!どこで買ったの?」

「ありがと!駅前のセレクトショップだよ。奈緒ちゃんのパーカーワンピも可愛い」

「ありがとう♡ カジュアル大好きだから今度セレクトショップ覗いてみよ〜!」

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