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彼女の恋愛

第15章 マーくんと彼女

顔は見えないがサラっとくるみの頭を優しく撫でる大きな手、暖かくて心地よくて撫でられる度に気持ちよくなる

「ごめんな。あんな事言うつもりなかったのに…」

(なんのこと? 誰?)

「昔からどこか隙だらけで危なっかしくて心配なんだよ、くーちゃんは」

(くーちゃん?)

「犬に追いかけられたり、悪ガキに苛められたり…何度か助けたらストーカーになりやがって毎日家におしかけたなw」

(そうだっけ?…っていうか、もしかしてマーくん?)

「…あれだけくーちゃんに大好きって言われてきたけど大嫌いって言われたのは初めてだ。心臓抉られる様だけど散々あしらってきたのに今更傷付くなんて都合良すぎるよな」

(私がマーくんのこと嫌い?そんな訳ないよ)

「高校生になっていつの間にか大人びた美人さんは俺のこと気付くどころか忘れちまったみたいだけど、俺は一目でくーちゃんだってわかったよ。6歳のガキなんて相手にしないはずだったのに…」

(マーくんが私のことを好き?)

「まぁ、大事にしてくれる男も出来たしもう俺が側にいる必要はないよな。くーちゃんがこのまま俺の事を忘れてくれます様に…」

(え、やだ…マーくんに会いたい)

おでこに暖かくて柔らかい感触が伝わり、左手の薬指に何かを嵌められた

「じゃあな、くーちゃん」

手が離れると同時に大きな声で泣きながら叫び、洋服の裾を掴んだ

「やだ!マーくん行かないで」

「っ…!」

目を覚ますとくるみが掴んでいるのはマーくんではなく、小島の裾だった

「あれ、先生? …マーくんは?」

「…は?」

キョロキョロ辺りを見回すが小島以外は誰もいない

「やだ…夢だったのかな」

涙を手でゴシゴシ拭うとはぁとため息をついた

「…寝ぼけているのか?」

「大好きだった人の夢を見ていたみたいです…会いたいな」

授業の終わりを告げるチャイムが鳴った

「(大好きだったか…) 森野、お前よくも俺の授業をサボりやがったな!罰としてこれから1週間毎日補修だ」

「はぁ⁉︎ 先生の所為で本当に具合悪かったんですけど…」

「そんなリアクション出来るやつは元気な証拠だ。2時間、図書室でやるからな」

「嫌です!文化祭の準備もあるし…先生だって部活は?」

「2時間くらい俺がいなくたってどうにでもなるし。サボるなよ」

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