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彼女の恋愛

第15章 マーくんと彼女

くるみはその光景を微笑ましく見つめローテーブルを出して飲み物を置いた

「え、じゃあ答えは4.8㎞ってこと?」

「さすがですね、大正解です。文章問題は一つ一つ落ち着いて解いていくことが大事です」

「お兄ちゃん!サイコロ振って!」

「あ、すみません。お待たせしました」

「…隆盛くんってすごい!ちょー頭いい! ねぇ、また勉強見てくれる?」

「いつでも構いませんよ」

くるみがしばらく見ていたがやがて夕飯の準備にキッチンに戻ったのをチラッと確認すると、隆盛はなつみに声をかけた

「なつみさん、くるみは昔大好きだった年上の人がいたと聞きましたが」

「あれ?お姉に聞いた? なんだ隆盛くんに結局話してるんじゃんw」

「(俺には言うなと口止めしていた?)やんわりと聞いてその後は恥ずかしいのか隠すんですよ。くるみが片思いしていたのは5、6歳くらいですよね?」

「たぶん!私は0歳か1歳くらいだから記憶ないけどお母さんが酔っ払って話してたの。小島さん家のマーくんにベタ惚れで離れなくて大変だったって」

「(やはり)…可愛らしいですね」

「お母さんはドン引きだったらしいよw マーくんと結婚するって言い張って付き合っていた彼女を別れさせたり、地方の大学に行くことが決まった時に着いていくって大変だったって」

「はーい!上がり♪ お兄ちゃんの負け」

むつみがわーいと無邪気な顔で笑っていたが、隆盛はモヤモヤした気持ちになった

「くるみ」

キッチンに立つ後ろ姿に声をかけると振り返ったくるみは何故か泣いていた

「くるみ!」

急いで近寄って抱きしめるとくるみは慌てて離れようとする

「隆盛?どうしたの?」

「どうしたのって…なんで泣いているんですか?」

「あぁ、隠し味にワサビを入れたんだけど入れすぎてツンと来ちゃったの。もうゴハン出来るよ?」

「いえ、夕飯までご馳走になるのは…」

「もう隆盛の分も作っちゃったよ? 今日はパスタにしたの」

キッチンを見ると綺麗に4人分お皿にパスタが盛られ、サーモンのカルパッチョサラダとコンソメスープも出来ていた

「では、有り難く頂きます」

「うん!なつみ達、呼んできてくれる?」

隆盛が呼びに行くとみんなで手を洗ってダイニングテーブルに腰かけた

「いただきます」

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