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彼女の恋愛

第15章 マーくんと彼女

「くるみ…愛しています」

「…うん」

「俺もうくるみが居ないとダメなんです」

「うん」

「だから小島先生にだけは渡しません」

「うん………は?小島先生?」

隆盛は不思議そうなくるみを見つめるとゆっくり口を開いた

「くるみが昔好きだったマーくんは小島将紀(こじままさき)先生ですよ」






「嘘でしょ?なんで隆盛がわかるの?」

「図書室でくるみと先生の会話を聞きました。好きだった人に似ていると…それから聞いた話を整理すると小島先生だと特定出来ました。
小島先生は地方の大学を卒業して、地元の高校に教師として赴任されていますし、今27歳です。 それと先ほどなつみさんに確認したら小島さん家のマーくんだと…」

くるみは最初信じられなかったが思い返すとだんだん納得せざるを得なかった

「…先生のフルネーム知らなかった」

「知らなかったのはどうかと思いますが、裏を返せば小島先生には興味がなかったと解釈できます。安心しました」

「私は探偵失格だな…昔、アガサクリスティもコナンドイルも読んだのは全部マーくんの影響だったの。推理の話をしている時のマーくんの顔がキラキラして楽しそうで…あの顔を見ているの好きだったから」

「…小島先生が好きですか?」

「私が好きだったのは17歳のマーくんだよ」

隆盛を真っ直ぐ見つめると今までで一番優しいキスをした

「そろそろお暇します…象、借りていいですか?」

「熊じゃなくていいの?」

「遠慮しておきます。お見送りは必要ありません、夜風が冷たいですから」

くるみのおでこにキスをして、また唇にキスをした

「お休みなさい、また明日」

「お休み…隆盛」

パタンとドアが閉まりくるみはしばらく熊を見つめた




翌朝

いつも通りの時間に出ると相変わらず律儀にくるみを待つ隆盛の姿があった

「おはようございます」

「おはよう、ゆっくり眠れた?」

「象のおかげで…くるみは眠れましたか?」

「うん。熊のおかげでね」

そう言うと隆盛の表情が曇った

「隆盛の柔軟剤の匂いが少し移っていたの。マーくんのだからじゃないよw」

そうですかと少し恥ずかしそうにしてくるみの手をつなぎ学校に向かって歩き出した

「僕の殺風景な部屋に象が1匹いるだけでだいぶファンシーになりました」

「ピンクの象だしねw」

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