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彼女の恋愛

第15章 マーくんと彼女

「なんでかな…くーちゃんが矢川と付き合った時もイライラしたけど、村瀬は嫉妬で我慢出来ないくらいムカついた」

「それは隆盛に勝てないと思ったからだよ…今も探してると思うから私、行くね」

くるみが立ち上がろうとすると手を掴んで引き寄せる

「やだ。それに村瀬まだ職員室だよ」

「さっき呼ばれてたけど、もうさすがに…」

「俺が須藤を使って村瀬足止めしているから」

「は?」

悪びれる様子もなくギュっと抱きしめた

「だってあいついろいろ鋭いし、邪魔なんだもん。須藤をこの前のラブホの件で脅して村瀬を引き止めさせてる…でも須藤アホだからそろそろ限界かな。くるみ」

抱きしめられるのを抵抗していたが、名前を呼ばれてビクっとなる

「今は何股中?」

「最低!」

パチンと胸を打つと痛っ!と摩りながら話を続ける

「俺、今度こそくるみの事守る。今は村瀬が居てもくるみが俺を選んでくれるまで必ず待つ」

「また勝手なこと言って…待たないで!」

「じゃあ勝手に待つ…一応約束したからな」

「マーくん…いま私がこうやって普通に話しているのはマーくんが毎日顔を合わせる担任だからだよ? 本当ならこんな事されて口も聞きたくない」

「ごめん…でも諦められないから」

くるみを離して見つめるとドアからバンバン!とけたたましい音が鳴った

「村瀬だな…ここを嗅ぎつけるとは気持ち悪いくらい感が鋭いな」

くるみはドアに近づくと鍵を開けた

バァン!

すごい勢いでドアが開くとそこにはブレザーを脱いでワイシャツもネクタイも乱れた隆盛が息を切らせながら立っていた

「くるみ!」

ギュっと抱きしめた後に全身を確認する

「何もされていないですか?大丈夫ですか⁉︎」

「大丈夫だよ。話していただけ…」

隆盛はソファーでくつろぐ小島を睨みつけた

「よくも出し抜いてくれましたね、この借りは高いですよ」

くるみに行こうと手を引くと数步進んで振り向き小島を見つめた

「先生、私の事は待たないで下さい。さようなら」

隆盛と一緒に空き部屋を後にした

学校を後にして一緒に歩いていると隆盛が不安そうにくるみを見た

「くるみ…本当に大丈夫ですか?」

「ん? 何が?」

「あの様子だと先生に告白されたのではないですか?」

「私のマーくんに対する思いは既に終わっているよ」

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