テキストサイズ

彼女の恋愛

第15章 マーくんと彼女

「本当はそう自分に言い聞かせてるだけじゃないの?」

「そんな訳…」

「なら簡単に連れ込まれるなよ」

珍しく強めの口調をくるみにぶつけて、すぐにごめんと謝る

「…私、帰る」

「送ります」

「いい…一人になりたいし」

「ダメです、送ります」

手を握って学校を後にした二人は無言で家まで歩いた

くるみのマンションに着くが隆盛は手を離さないし、くるみも何も言わなかった

「くるみ、少しだけ話しませんか?」

「…うん」

「俺の家に行きます?」

「…うん」

隆盛の家に上がり部屋で待っているとお茶を持って隆盛が入ってきた

「さっきは感情をぶつけてしまってすみませんでした」

ペコッと頭を下げる隆盛にくるみはやめてと呟く

「私がいけないから…」

「いえ、悪いのは俺です。簡単に騙されてくるみから目を離してしまった事を後悔しています」

「隆盛は悪くないよ、私に隙があるのがいけないから…ただ隆盛も陽もそう言うけど隙って私にはよくわからない」

「くるみはそのままでいいんです」

ギュッとくるみを抱きしめて耳元で囁く

「俺がくるみと付き合えたのもくるみの誰でも受け入れてくれる優しい気持ちにつけ込んでの事ですから…それがなくなったらくるみじゃなくなります」

「隆盛、私どうすればいい?どうすれば隆盛は私を信じてくれて、どうすれば先生は諦めてくれる?」

「先生に至っては簡単です、俺が側にいる限り諦めるでしょう。問題なのは俺の性格ですね…」

フーとため息をつきながらくるみを自分の膝の上に座らせ背中を抱きしめた

「くるみと付き合って何人かクラスメイトにも声かけられるようになり、くるみのご家族に暖かい時間を頂いたり俺はいまとてつもない幸せな時間を過ごしています。この幸せを一度噛み締めてしまうと何もなかった頃の自分には戻れない…それがすごく怖いです」

「私どうすればいい?」

「隣に居てくれるだけでいい」

くるみの顔を上にあげてキスをすると強張っていたくるみの身体も徐々にリラックスしてきた

もう一度キスをしようとすると隆盛の眼鏡がコンと当たってしまった

「すみません。痛くなかったですか?」

「大丈夫だよ」

「…コンタクトにしようかな」

「え?だ、だめ!」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ