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彼女の恋愛

第16章 日常的な彼女

戸惑う瑛人を他所になつみか先を促した

「筋書きは俺がなつみさんの彼氏のふりをして試合に同行します。そこでなつみさんと瑛人くんに喧嘩別れしてもらい、罠にかかったとほくそ笑む彼女がどのような行動に出るか…」

「そこから私に勝利宣言をしたり、瑛人に告ったら瑠璃は黒だってことだね?」

「そういう事になりますね」

「…俺は正直こんな事したくない。でもそれで瑠璃ちゃんの潔白が証明されるのと、なつみの気が晴れるなら好きにすればいいよ。ただ瑠璃ちゃんが白だった場合はわかってるよな?」

「なにが?」

「なにがじゃない。彼女にちゃんと頭下げて謝れよ? 」

「なんなら土下座してやるわよ」

なつみがプンと顔を横に頬を膨らませたそこにくるみが夕食を運んできた

「オムライス出来たよー!」

「お姉さん、すいません。俺、今日は家で飯食うって言ってきたので今日は帰ります」

「え〜瑛人くんのもあるよ?」

「先に言えばよかったですね、すいません」

シュンとする瑛人にくるみは慌てて手を横に振った

「あ、ううん!私が勝手にした事だから気にしないで? 母さんの夜食にするし大丈夫」

「本当すいません。また改めて食いたいです」

ニッと笑って瑛人は玄関に向かった

むつみがなつみの手を引いて玄関に向かう

「お姉ちゃん!瑛人を下まで見送ってくる〜」

「わかった。ごはん冷めちゃうから早くね」

3人が玄関を出て行ったのを確認してくるみは隆盛をジトッと見た

「隆盛がなつみの彼氏役? 大人っぽいから雰囲気釣り合わないんじゃない?」

「岬先輩よりはマシだと思いますが?」

フッと笑いながら口角を吊り上げる隆盛にボソっとくるみが呟く

「…創先輩に話を持ちかけたの根に持ってたんだ」

「誤解です、そういうつもりはありません」

「なら、どういうつもり?」

くるみの鋭い視線に隆盛は少しも臆していないが肩を竦めた

「一つは瑛人くんとなつみさんの力になりたいと思ったから、一つは岬先輩からくるみを守るため…もう一つはくるみのこの顔が見たかったから」

頰に手を添えて愛おしそうに見つめる

「なつみさん相手にヤキモチ妬いてくれるとは思わなかった。くるみの気持ちは兎も角、俺はすごく嬉しいです」

「知らなかった?私、意外と独占欲強いんだよ?」

隆盛の首に両手を回し背伸びをして唇を合わせた

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