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彼女の恋愛

第16章 日常的な彼女

「むしろ…なんです?」

「隆盛とは、その…」

「…」

期待するようにジッと見つめる隆盛にボフ!っと象のぬいぐるみを押し当てて顔を赤くした

「へ、変な事を言わせないで。食べやすそうな物を買ってくるから寝てて?」

「…」

無言で訴える隆盛にも〜!と怒るくるみ

「私も隆盛には触れたいと思うし、抱き合いたい。じゃあ買出し行ってくるから鍵貸して?」

くるみが言い切るとニコッと笑って鍵の場所を教えた

「ご迷惑をおかけします…でも学業優先ですよ?」

「わかってます!すぐ戻るから休んでいてね」

隆盛の頰に軽くキスをして部屋を去ると玄関の鍵を閉めてコンビニに買出しに向かった

(ヨーグルトとパンとゼリーと…ポカリは多めがいいかな)

食べやすそうな物を買って急いで隆盛の家に戻った

冷蔵庫を開けると空っぽでくるみは心配になった

(おかゆ作っておこうかな…少し遅刻するけど)

そっと隆盛の部屋を覗くと気持ちよさそうに寝ていたので、キッチンを拝借して簡単に玉子のおかゆを作り書置きを残して隆盛の家を後にした

1限の途中で学校に着いたくるみは初めに職員室に寄り、小島の元へ向かった

「失礼します」

何処かに電話をかけていた小島はくるみの姿を見ると慌てて電話を切ってくるみを見据えた

「森野…遅刻の理由は?」

「すみません。通学中に気分が悪くなって少し休んでいました」

通学中に考えた嘘だが、くるみの言葉を聞いて心配そうな顔をする

「大丈夫なのか?」

「はい、少し休んだら治りました。連絡も出来ずすみませんでした」

「ならいい。あんまり無理するなよ?」

「はい。失礼します」

くるみは職員室を出ると図書室に向かった

(途中から参加するの気まずいし、少し図書室にいよう)

鍵を開けて座るとカウンターにうつ伏せになって目を閉じた

5分くらい時間が経つと頭に暖かい大きな手にポンと包まれた

顔を上げると心配そうな小島の顔があった

「やっぱりまだ具合悪いんじゃねーのか? 保健室行くぞ」

「あ、保健室は大丈夫です。1限終わるまでここに居てはいけませんか?」

「普通はダメだけど…」

小島はカウンター前に椅子を持ってきて座るとくるみの頭を撫でた

「あと15分で終わるしな、今回だけだぞ?」

「…先生誰かに見られたら誤解されますよ」

「俺は構わないよ」

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