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彼女の恋愛

第16章 日常的な彼女

右手で隆盛の身体を抱きしめて左手で頭をそっと撫でると隆盛はようやく唇を離してくるみの首筋に顔を埋めた

「隆盛まだ身体熱いね。冷えピタ変えた方がいいよ」

「くるみの体が冷たくて気持ちいいです」

「こんなんじゃすぐに暖まっちゃうよ」

クスクス笑うと目が合って今度はお互いに優しくキスをして離した

「寝ていた時にくるみの夢を見たので隣に居る気がしてしまい、起きた時にすごく寂しくなりました。電話で声を聞いて安心したけど宮澤にくるみの弁当が食べられたと聞いてすげー嫌で…」

「そうだったんだ!ごめんね、処理する事しか考えてなかったから隆盛の気持ち無視しちゃって」

「いえ、こんな事くらいで腹立つ俺の器が小さいから」

「ううん!逆の立場になったら私も嫌だもん。ごめんね」

謝って隆盛をぎゅっと抱きしめるとようやく強張っていた肩の力が抜けた気がした

「夕飯もお粥じゃ味気ないから湯豆腐作ろうと思ったんだけど食べれそう?」

「嬉しいけどくるみが疲れちゃうから…」

「病人は余計な心配しないで横になって!」

2階に行って寝るように勧めたがリビングに居たいと駄々をこねたのでリビングを暖かくして湯豆腐を作り始めた

「今日は学校、どうでしたか?」

「ん?…いつもと同じだったよ」

小島が見せた淋しそうな笑顔を思い出して胸が少し傷んだ

「文化祭の打ち合わせをしたと言っていましたが、衣装の事ですか?」

「あ、そうなの。で、聞いてみたけどやっぱりコスプレはしなきゃダメだって」

「…宮澤め」

隆盛は吐き捨てる様につぶやくと再びくるみに話しかけた

「どんなコスプレをするか決まりましたか?」

「ううん、候補の中からなるべく地味なものをお願いしたけど決めるのは菫に権限があるから」

「…何故です?」

「一番人気があって露出が高いのを着る条件だよ。でも私のキャラはほぼ決まってるみたい」

コレだよとネットで検索した画像を見せると目をパチパチさせる

「制服ですか?」

「そう。これなら安心でしょ?」

「思っていたよりは…でも油断は禁物です。俺とくるみの邪魔をする奴は何人たりとも許せません」

「大袈裟なんだから…」

料理を作り隆盛の前に持っていくとフーフー冷ましながらあっという間に完食した

「食欲はあるみたいで良かった。これなら明日には治るかもね」

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