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彼女の恋愛

第17章 不思議の国の彼女

《芋虫》

しばらく進むとほのかに甘くて苦いタバコの臭いが漂う

タバコの煙を元に近づくと大きな葉っぱの上に誰かが座っている

「誰だ?」

頭から降りかかるその声色は低くてはっきりした口調だ

「マーくん?」

葉っぱが邪魔で相手の顔が確認出来ないが、声の持ち主は小島で間違いなさそうだ

「そんなとこに居たんじゃ、まともに話も出来ん。ほい」

パチンと指を鳴らすとくるみの体がふわっと浮かび葉っぱの上に着地した

「ありがとう!マーくん、助かっ…」

くるみは小島によく似た芋虫?の擬人化した格好をみて言葉を失った

くるみと同じ様な水色のシャツに袖は大きいフリルが段々に付いていて頭からすっぽり水色のマントを被っている

水色のズボンに水パイプを吸いながら葉っぱの上でダラダラだらけている芋虫に思い切って声をかけた

「先生…何やってんの」

「おい!ここで先生はやめろ。俺だってこんなん嫌だよ、芋虫だぜ?」

「そんな事言いながら休めるから本当は嬉しいくせに…」

「あ、バレた?w 本編の俺にピッタリだよな」

パイプを離してフーっと煙で輪っかを作ると嬉しそうに笑う

「マーくん次に進みたいんだけど、どっちに行けばいい?」

「はぁ? 来たばかりで何言ってんだよ」

「だって早くお茶会して女王様とゲームして夢から覚めたいもん」

「はぁ…お前は言っちゃいけない事を言ったな」

「え?なに?」

「この先の展開をバラすなんて…総監督を怒らせた」

「さっきから総監督ってなに⁉︎ それに不思議の国のアリスなら誰でも知ってるでしょ?」

「…不本意だけど反省していないし、仕方ないな」

芋虫は立ち上がりくるみに近寄るとパチンと指を鳴らした

(あれ…体が動かない⁉︎)

「気付いたか? この森は俺の領地だ…それに領主は指を鳴らすとある程度の魔法が使えるんだよ」

「そ、そんな馬鹿な! マーくん、やめて…」

「お前がこんな嫌らしい格好するなんて…10年前は想像もつかないな」

「マーくん!本当やめて」

くるみがキッと睨むと頰に手をかけてグッと近づいた

「この世界で最初にお前を抱けるのも案内役の特権だな」

言い終えるとクイッと顎を持ち上げて深くキスをした

抵抗しようにも体は動かず芋虫のキスを受け止める事しか出来ない

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