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彼女の恋愛

第17章 不思議の国の彼女

「な、なんで⁉︎」

コツコツと足音が聞こえてライオンが申し訳なさそうに地下牢へ入ってきた

「ごめんね、くるみちゃん。君をユニコーンの所には行かせられない」

「なんでですか! 」

「そんなの君とやりたいからに決まってるじゃん」

「なっ…⁉︎」

くるみはライオンの隠さないストレートな発言に目眩がした

「だって金持ち、イケメン、優しいの三拍子が揃った最高なキャラの筈なのに本編では脇役だろ? こんな別世界くらいでは主役と絡んでみたいじゃん」

「最低!絶対嫌です」

くるみはぷいっと顔を背けた

「ふ〜ん、拗ね方も可愛いね!今、馬鹿猫と双子に凸されて少しバタバタしているから俺と寝たくなるまでここで頭冷やしててね」

ライオンは言い終えると来た道を戻っていった

「優しい人だと思ってたのに〜、あんなに最低な人だと思わなかった!」

くるみは吐き捨てる様に呟くとガチャガチャ手錠と足枷をバタつかせるがビクともしない

「ガチャ…絶対、ガチャ…シュンさんとはガチャ…寝ない!」

諦めずに何度も鎖を引っ張るがうんともすんともしない

「うっ…もうやだ…」

くるみは少し疲れた所為か弱音を吐いた

すると小さい窓から月明かりが漏れて明るかった場所が僅かに歪む

「ん?いま何か動いた…?」

黒い影が現れ液体化するとそこからシュルシュルッと人の形になっていく

現れたのは先ほど大きな木の上に居たユニコーンだった

「創先輩! 無事でしたか?」

「それはこっちの台詞!くるみちゃんこそ大丈夫?」

ヘラヘラ笑って何か呪文の様なものを唱えて指をパチンと鳴らすと足枷と手錠の鎖が腐り落ちた

「さぁ、行こう」

「さっきまですごく頑丈だったのに…」

腐り落ちた手錠をマジマジと見ていたが再度、創に促される

「行くよ」

くるみを抱きしめるとパッと城の外に出た

「最近、ライオンの様子がおかしくてさ。城に飛んでいく君を見て嫌な予感がしたから追いかけたんだ。君を捜していた猫に途中会って協力してもらったんだけど…怪我はない?」

「良輔さんが…それよりシュンさんと戦争と言うのは?」

「あぁ…それは…」

説明しようとしたユニコーンの身体がずるっと傾き倒れる寸前でくるみが支えた

「創先輩⁉︎」

「ごめん、大きな魔法をたて続けに使ったから…少し休みたいけどここはまだ危険だから…」

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