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彼女の恋愛

第17章 不思議の国の彼女

「こんなに無理をなさって、早くお身体を休めませんと! 」

白の騎士はユニコーンをおぶるとくるみと来た道を戻ろうとしたが、深い井戸の底に居ることに気がつく

「でも創先輩の魔法がないとここから出られないかも…」

「しかしユニコーン様にこれ以上、魔法を使わせる訳にはいきません。…他の方法を考えましょう」

白の騎士がそう告げると先ほど案内をしてくれた蝶々がひらひら舞い降りてくるみの周りを一周すると付いて来いと言わんばかりにまっすぐ飛んだ

「使い魔さん…こっちに道があるの?」

「使い魔だと?」

くるみと白の騎士は後を追うと牢の少して前で蝶は止まった

「あっ!葛西さん、ここ窪みがあります」

白の騎士がそこに手をあてて押すとゴゴッと大きい音と共に穴が開き、蝶はまたまっすぐ飛び始めた

「待って!葛西さん行きましょう!」

「ああ…」

蝶の後に続き道を進むと城の外にある森に出た

「よし、まずはユニコーン様をお休みさせる為に私の家に行こう」

「わかりました」

くるみは城の騎士におぶられたユニコーンを見るとまたいつの間にか気を失ったのかすやすや眠っていた

「使い魔さんありがとう」

くるみが蝶に触れるとパァッと光やがて消滅した

「くるみ様、これは誰の使い魔なのです?」

「マーくん…芋虫さんの使い魔さんです」

「芋虫の?彼はこんなに強い魔力は持っていなかったはずだが…もしやあの言い伝えは誠だったのか」

「言い伝えって?」

歩きながら二人は話を続けた

「芋虫から聞いておりませんか? この世界の領主達が魔法を使えるのはご存知ですよね?ユニコーン様を除いた領主は限られた魔法しか使えることが出来ません。しかしくるみ様と契りを交わす事でより強い魔法を使う事が出来るのです」

「え⁉︎ つまりエッチをするとその人の魔力が強まると?」

「左様でございます。芋虫は他の領主と違いくるみ様の案内役と特殊な役職がございますが、使い魔を飛ばすような魔法は使えなかったはずですから」

「そうだったんですね。あの、創せんぱっ…ユニコーンさんは何故魔法が使えるんですか?」

「ユニコーン様は特異体質なのです。幼少よりお身体が弱くあまり外に出られませんでしたが、その代わりに魔術はこの世界の誰よりもお強いです。薬代わりに呪いをかけられたのではと揶揄する者もおりますが…」

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