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彼女の恋愛

第17章 不思議の国の彼女

「ハートの城?」

くるみは首を傾げたが他の二人は会話を続ける

〈ユニコーン、それ以上何も言わないほうがあなたの為ですよ? このままずっと朝のままでも俺は構わないので〉

「さすが陰険帽子屋! イタイとこつくね〜」

〈夜にする条件はくるみに触れることなく黒の館まで連れてくること。これは一切譲りません〉

「ん〜、困っちゃうな。それだとライオンの問題が解決されないし、くるみちゃんを満足させないと世界のルールに反して罰せられちゃうからね…そうだ!くるみちゃんから帽子屋にお願いしてもらえないかな?」

ユニコーンはにっこり笑ってくるみに話を振る

「えっと…隆盛? 先輩のお願い聞いてもらえないかな?」

〈くるみがこちらに来るなら構いませんよ〉

「でも白の城は危機的状態でシュンさんも赤の騎士に操られているから私も協力して解決しないと…」

〈彼らが赤の城の領土を奪ったのがきっかけですから、因果応報ってやつです。くるみが協力する必要はありません〉

「…そんな言い方はないんじゃないかな?君だって何も知らないわけじゃあるまいに…なんか今久しぶりにカチンときちゃったな〜」

そう言う割にはあまり怒ってない感じでユニコーンが立ち上がると蝙蝠に近付いてコソッと耳打ちする

(くるみちゃんに話しちゃおうかな〜?君がハートの城に捕まっていた間、どんな恥辱を受けていたか…)

〈なぜお前がそれを⁉︎〉

(大魔法使いは何でもお見通しなんだよ♡ 黙っていてあげるから君の条件はなしで夜に変えてくれるよね?)

〈くっ…汚いやつめ!この借りは忘れませんから〉

蝙蝠がバサっと羽根を広げるとくるみの近くにある電気スタンドに止まった

〈くるみが無事に黒の館に辿り着くように待っています。…気をつけてください〉

「うん!隆盛すぐ行くから待っててね」

蝙蝠は羽ばたき来た道を戻るように玄関から戻っていった

「じゃあ夜に向けて支度と作戦の確認をしよう!そろそろ騎士も戻ってくるだろうしね」

「はい!」

「くるみちゃんは赤の騎士捕まえてライオンが正気に戻ったらあいつと俺、どっちを相手にするかも忘れずに考えといて。まぁ、騎士でもいいけど…」

「はっ?」

「じゃないと帽子屋のとこ行けないよ?」

「そ、そうですね…」

「俺としてはずっと白の城に居てくれて構わないんだけどね」

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