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彼女の恋愛

第8章 夏休みの彼女

「あらら?一中史上、最速女王の名も廃れたなw」

「はぁ? 今でも本気出せば楓なんか目じゃないし〜」

「日本のトムデイリーといえば俺のことだから」

「トムデイリーは飛び込みの選手だけど〜?」

バチバチと火花を散らす両者はあの岩まで競争だ!と泳ぎに行ってしまった

「まったくあいつらはしょうがねーな、くるみちゃんも泳ぐ?」

葵がニッと笑う

少し長めの髪に綺麗に手入れされた髭、小麦色に焼けた肌に割れた腹筋、
ターコイズのゴツめの石が付いたチョーカー、花柄のサーフパンツ。
くるみの周りにはいないワイルドな大人の魅力がする

「あ、じゃあ泳げないので浮き輪取ってきます!」

「わかった!ここで待ってるよ」

くるみがレジャーシートまでくると先ほどまで横になっていた良輔の姿がない

すぐ近くの砂浜でなにかを探している良輔が居た

「良輔さん?なにか探し物ですか?」

「くるみちゃん! コレあげる♡」

マルボロの箱を渡された

「私、たばこは…」

「手!貸して♡」

くるみが右手を差し出すと良輔は手のひらの上でマルボロの箱をひっくり返した

「わぁ!きれい…」

白とピンクの小さい貝殻が沢山出てきた

「今日の思い出になるかなと思ってさ!」

「ありがとうございます。妹達も喜びます!」

「喜んでもらえて良かった!じゃあおじさんはもうひと眠りしようかな」

良輔はニと笑ってシートに戻りゴロンと寝転んだ

(見た目は派手なのに貝殻とかピュアなんだな…w)

くるみはマルボロの箱を荷物にしまって浮輪を持って海に出た




しばらく葵と遊んでいると楓と菫が戻ってきた

「楓の所為でメイク崩れちゃったよ〜!それにお腹空いた!」

「ふっ、俺様に敵うわけないだろ?」

「そろそろ飯にするか〜」

売店を見てみると長蛇の列にげんなりする一同

「あれ並ぶとか絶対いやー!もう海いいからどっか涼しいとこ食べに行こうよ〜!」

「はぁ!? 我儘言うな!」

「そうだよ!それに俺まだくるみちゃんと遊んでないもん」

「くるみも暑いとこでご飯食べるより涼しいとこがいいよね〜♡ 近くに有名なカレー屋があるんだよ〜」

菫がくるみにウインクをする

「う、うん。でも良輔さんまだ泳いでないからかわいそう…」

菫がゴニョゴニョ耳打ちする

「カ、カレーが食べたいにゃん?」

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