テキストサイズ

彼女の恋愛

第8章 夏休みの彼女

「くるみもこんな猿相手じゃ大変だね〜」

「愛だよ、愛!ガタガタうるせーな!」

また恒例の言い合いが始まった

もー!とくるみは呆れて相悟をみると少し疲れた顔をしていた

「相悟くん、なんか疲れてる?」

「ちょっと練習頑張りすぎたかな。でも大丈夫だよ」

相悟はフっと笑ってくるみの掛け衿をなぞった

「その浴衣くるみちゃんに似合っている。いつもと雰囲気違ってなんか…すごくそそられるね」

「こらー!なにやってんだ!」

気付いた陽が二人を離す

「やれやれ。お前たちを仲裁するのも一苦労だよ」

「そろそろ混んできたし〜会場に行こう〜?」

菫が相悟の手を繋いで先に歩き出した

「陽、私達も行こう?」

くるみが陽に声を掛けるとあぁと返事をするも少し不機嫌そうにくるみの手を繋いで歩き出した

「どうしたの?」

「前から思ってたけど、くるみはもう少し気をつけないと。隙がありすぎる」

「相悟くんのこと?あれは陽達を止めるためにやった冗談だよ」

「本気でそう思ってるの?」

陽が立ち止まって繋いでいたくるみの手を離した

「あいつは潔癖症だから何も思ってない相手を触ったりしない。それにさっき松岡の兄貴もくるみを見る目は男目線だった」

「陽〜、何言ってるの?葵さんは私が菫の友達だから優しいんだよ。相悟くんだって菫がいるのにそんな事思わないでしょ」

くるみは陽の手を取って優しく見つめた

「陽のヤキモチ妬きなところも大好きだよ」

「…ごめん」

菫達の後を追って歩き出したがすでに人混みで逸れてしまった

「見つからないからこのままでいいか!あいつらも2人の方が気を使わないで楽でしょ」

「そうだね。混んでるしその方が移動しやすいね」

花火が見やすい場所を探して歩いていると後ろから袖をくいっと引っ張られた

「お姉!浴衣だからビックリした!」

「なつみ!まさか本当に会うとは思わなかった」

「なっちゃん?すげー日焼けしてるね」

陽が声を掛けるとなつみは嬉しそうに笑った

「陽ちゃん紹介するね!お母さんと妹のむつみだよ」

陽がくるみの母を見てぎこちない挨拶をする

「は、初めまして!くるみさんのクラスメートでお付き合いしています。矢川陽です」

ぺこっと頭を下げる陽を見てくるみの母、美羽(みわ)は思わず笑ってしまった

ストーリーメニュー

TOPTOPへ